グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ


診療科・部門

特色のある治療



上肢外傷

肘、手関節、手指の外傷は整形外科医であればよく遭遇する一般的な怪我ですが、診断、保存治療、手術治療、リハビリなどが適切に行われないと痛み、関節が固くなる拘縮、力が入らないなど機能損失が大きく、社会復帰、スポーツ復帰など日常生活に影響します。当院では手外科専門医がマネージメントし骨、靭帯、腱の損傷までリハビリを含め総合的に加療を行っております。

TFCC損傷 尺骨突き上げ症候群に対する治療

TFCC(三角線維軟骨複合体)は、手首の尺側(小指側)にある軟骨と靭帯の複合体で、その組織が損傷することで慢性、難治性の手首の痛みが生じます。交通事故や重いものを持った際に手首を捻り受傷したり、転倒して手をついたりすることで損傷することがあります。スポーツ障害の一つともなっています。はっきりとした外傷機転がなく、加齢による摩耗から痛みが生じることもありその場合は尺骨が長いことが原因になることがあり尺骨突き上げ症候群と呼ばれます。手首を小指側に曲げた時、タオルを絞るとき、ドアノブを回すとき、重いものを持つとき、手をつくときなどに手関節の小指側に痛みがある方はTFCC損傷が疑われます。TFCC損傷の診断・治療には高度な知識と技術が必要なため、一般の整形外科では、普通の捻挫だといわれ見逃されてしまいがちで適正な治療がなされず1年以上も痛みを我慢したという患者さんもいます。
TFCC損傷の診断には、まず手外科疾患のエキスパートが徒手検査を行います。患者さんを触って診察し、圧痛、運動時痛などを確認します。欠かせないのが、画像検査です。当院では独自に開発した造影剤と局所麻酔薬を混ぜた薬液を関節に注射することで痛みの原因がどの部分にあるのかを関節造影CT(コンピューター断層撮影)による画像診断と局所麻酔によるブロックテストを組み合わせて診断しています。より軟骨や靭帯の状態をより詳細にみることができ、MRI(核磁気共鳴画像法)より精度の高い診断が可能となります。
的確な診断が実現できれば、それに合った治療法を選択できます。TFCC損傷の場合、まずは保存療法です。患部の装具固定による局所安静、そして局所麻酔剤入りのステロイドの注射で炎症を抑えます。2014年に開発したオリジナルのシグマブレースは、手の甲のところに金属補強板を入れることで、小指のほうに曲がらないよう工夫したものです。保存療法で症状が改善されない場合は手術療法を選択します。
手術では、TFCCの靭帯部分が切れている場合は、直視下もしくは内視鏡によるTFCC縫合術を行います。ただ、時間がたつと縫合が困難となるため、その場合は自分の腱を移植するTFCC再建術を行います。また尺骨が長いことによってTFCCにかかる圧が高いため痛みが生じる場合も多く、その場合は尺骨短縮術を行います。一般的な尺骨骨幹部(中央部)短縮術の場合、短縮骨切りを行い金属プレートを入れて、スクリューで固定します(上図)。術後成績が安定した手術ですが、骨がつくまで約5~6か月かかり復帰に時間を要します。当科では骨切りの方法やプレートに独自の工夫を加えることで骨癒合率を高める工夫を行っており非常に安定した成績を手関節外科学会で報告しております。また当科の特色として、比較的若年でスポーツなどの早期復帰を希望される患者様に対しては手首に近い骨端部での短縮術(北野法)を行い、骨端部を三角形に切除して折り曲げ1本のスクリューで固定します(下図)。これだと傷は3㎝ほど、骨がつくまで約2〜3か月と早く、早期復帰が望めます。
当科は多数の症例の治療経験があり正確な診断に基づく加療を行っております。手首の痛みが持続する患者様はぜひご相談ください。

(上)3㎝の小さな皮切で行う骨端部での尺骨短縮術
(下)6~8㎝の皮切の骨幹部での尺骨短縮術

手関節橈側部痛に対する診断、治療

上述のTFCC損傷を代表とする手関節尺側部(小指側)の痛みも原因が多岐にわたり診断が難しいですが、手関節の橈側(親指側)の痛みも様々な原因があり、外来でよく受診されるドケルバン腱鞘炎(母指を立てる際に痛みが生じる)から、手関節を構成する手根骨の間の靭帯が緩んで痛みが出る疾患、特に舟状-月状骨間靭帯損傷、手関節のガングリオンと呼ばれるゼリーで満たされた袋状の腫瘤による痛み、舟状骨骨折の偽関節(骨がくっつかなかった)、加齢や昔の外傷が原因となる変形性手関節症など様々な原因があります(図)。手関節の尺側部痛(小指側)の痛みは徐々に認知度が上がっていますが、橈側部痛(親指側)に関してはまだまだ認知が広がっておらず、原因がわからないまま何年も痛みを我慢されていた患者様もいらっしゃいます。当科では手外科のエキスパートによる徒手検査、画像診断、ブロック注射による除痛などを組み合わせて原因を究明し、適切な診断に基づく治療を行っています。
特に舟状-月状骨間靭帯損傷に関しては非常に専門性が高く、長年手関節外科の治療を行ってきた経験に基づく適切な診断に基づき、関節鏡手術、靭帯形成術、靭帯再建術、部分手関節固定術など様々な治療を組み合わせて行っております。

手関節橈側部痛の診断の例を挙げたイメージ画像

キーンベック病に対する小侵襲手術

手関節を構成する手根骨のひとつ、月状骨に負荷がかかりすぎたことによって壊死を起こすキーンベック病に対する手術は、その負荷を軽減するため一般的には橈骨短縮術が行われます。手術の傷が大きく、長い金属プレートを用いるため治癒後にもう一度抜釘術をすることが多いというデメリットがあります(図1)。当科ではより小皮切・低侵襲で、かつ効果的な手術である有頭骨部分短縮骨切術を開発しこの方法を施行してきました。この方法では手背にわずか3cmの皮切を加えるだけ(図2)、しかもスクリュー1本しか使いませんので抜釘術が必要ありません。治療成績は従来法を上回る成績を達成しています。

図1 橈骨短縮術

図2 有頭骨部分短縮術

舟状骨骨折に対する小皮切手術、鏡視下手術

舟状骨は形が複雑で、X線写真ではその立体的な形態がわかりにくく、骨折が見逃されやすい特徴があります。小さな骨でありますが、癒合しにくく慢性的な手首の痛みの原因となります。当院では早期復帰を目指して積極的に手術を行っており、解剖研究、動作解析研究に適切なスクリューの刺入方向を選択、1cmの小皮切手術で約30分で手術が終了します。症例によっては局所麻酔、伝達麻酔で行います(図1)。
また骨がつかない(遷延癒合、偽関節)状態となった場合、骨を移植して固定する偽関節手術を行います。しかし舟状骨は血管にとぼしく、骨周囲の組織を損傷すると骨がよりつきにくくなります。当科では骨の血流を温存するため関節鏡手術による骨移植、偽関節手術を積極的に行い、早期の骨癒合、スポーツ復帰を実現しています。

手術写真

野球肘

成長期にボールを投げすぎることによって生じる肘の障害を野球肘といいます。肘の外側で骨同士が衝突して骨・軟骨が剥がれたり痛む離断性骨軟骨炎、内側では靱帯・腱が伸ばされることによる内側側副靭帯損傷、肘の後方でも骨同士が衝突する後方インピンジメントが生じます。安静、投球制限が基本ですが、当院では可能な限り投球禁止は行わず、投球フォームのチェック、コンディショニングなどのリハビリを重視しています。手術となれば低侵襲な肘関節鏡手術を中心に行います。内側の靭帯が繰り返しストレスで緩んでしまった場合は3本ある手首の腱の1本を移植する当院独自の靭帯再建術を行っております。

末梢神経絞扼性障害

手のしびれ、も非常に奥が深く、脳、脊髄、神経根、
↑文章こちらであっておりますでしょうか?

コンピューター3次元画像解析システムを利用した治療法

CT画像から作成した3次元骨モデルを用いて大阪大学で独自に開発した手根骨や肘のコンピューター3次元画像解析システムを用いて、手関節、肘関節の三次元的動作解析に基づく治療法選択、骨折手術シミュレーション・適切なインプラントの選択、骨折変形治癒の矯正、舟状骨偽関節、リウマチなどの様々な領域の治療計画に応用しています。本システムは多数の研究に用いられ、多数の国内外学会発表やアメリカ手の外科学会で8回受賞、国内でも3回受賞するなど高い評価を受けています。

左から手首・前腕・肘のコンピューター解析画像

  1. ホーム
  2.  >  診療科・部門
  3.  >  手の外科センター
  4.  >  特色のある治療