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診療科・部門

眼科



診療科について

眼科は感覚器の一つである、「見る」という機能を守るための診療科です。
一言で見えないといっても、光の通り道を遮るものがある(ドライアイ、白内障)、ピントが合わない(近視や遠視、乱視)視野が狭い(緑内障)、物を見るための大事な部分に障害がある(黄斑変性)、視神経に異常がある(視神経炎)など、見えない理由は人それぞれです。治療にも目薬や内服薬の処方、眼鏡やコンタクトの処方のほか、注射などの処置をする、手術をするといった様々な方法があります。
眼科では見えない原因を診察し、必要な治療を行うことで患者様の見え方を改善し、快適な生活が送れるようにサポートします。
当科のデジタル画像ファイリングシステムで接続された診察室・検査室には、角膜疾患から緑内障、白内障、眼底疾患のすべてに対応できる最新の検査器械を導入し、診断、治療を行っています。
また救急病院にふさわしく、眼外傷や網膜剥離などの緊急手術にも対応しています。

主な疾患

白内障

  • 眼科
眼をカメラに例えた時、レンズにあたるのが角膜と水晶体です。白内障は水晶体が年齢に伴って濁ってくる病気です。視力低下が進み、日常生活に支障を来すようになれば手術が必要になります。
症状
  • 細かい文字が見えにくい
  • まぶしい
  • ピントが合いにくくなる
  • 眼鏡をかけても見えにくい
原因
  • 加齢による水晶体の混濁
  • ステロイドの内服
  • 外傷や放射線など
  • アトピー性皮膚炎や糖尿病など、全身疾患によるもの
治療方法
  • 手術治療
    角膜につけた2.4ミリの切開から水晶体の混濁を取り除き、濁った水晶体の代わりの眼内レンズを挿入します。手術時間は通常15分ほどで痛みもありません。
  • 薬物治療
    白内障の治療薬はなく、予防目的の点眼治療になります

白内障術前①

白内障術前②

白内障術後①

白内障術後②

加齢黄斑変性症

  • 眼科
眼をカメラに例えた時、フィルムにあたるのが網膜です。その中心にあるのが黄斑で、ものの細かい部分や色を見分けるのに重要な部分です。加齢黄斑変性症は黄斑に異常な血管ができることで視力障害を来します。
症状
  • 視力低下
  • 視野の中心がゆがんで見えにくくなる
原因 加齢黄斑変性では網膜の下にある脈絡膜に新しい血管ができ、増殖して網膜に侵入していきます(新生血管)。この血管はもろくて、血液の成分が漏れて網膜が水ぶくれのようになったり、血管が破れて出血したりします。
治療方法 加齢黄斑変性の治療で最も多いのは、抗VEGF薬の硝子体注射です。VEGFというのはもともと体内で分泌される、血管を作らせようとする信号で、これを無力化することで新生血管の成長を止めるのです。当科ではこの治療を外来処置で行うほか、加齢黄斑変性に伴う血腫を黄斑から移動させる手術などいろんな病態に対し、視力を維持するための治療を行っています。

加齢黄斑変性術前写真

加齢黄斑変性術後写真

網膜剥離

  • 眼科
眼をカメラに例えた時、フィルムにあたるのが網膜です。網膜剥離は網膜に孔が開いて網膜が剝がれてしまう病気です。飛蚊症や視力低下、視野欠損の自覚症状で気付かれることが多いです。早急に手術をする必要があります。
症状
  • 飛蚊症
  • 視野異常
  • 視力低下
原因
  • 強度近視
  • 高齢者
  • 外傷
治療方法
  • 手術
    裂孔を閉鎖し、網膜を元の位置に戻すために手術を行います。強膜内陥術や硝子体手術など、年齢や裂孔の位置によって手術方法は異なります。安静を保つ必要があるため、数週間の入院が必要です。

網膜剥離術前

網膜剥離術後

網膜裂孔

  • 眼科
眼をカメラに例えた時、フィルムにあたるのが網膜です。網膜の周辺が裂けて孔が開いたものが網膜裂孔で、網膜の萎縮によって網膜の欠損が起こるものを網膜円孔です。網膜剥離に伸展することがあり、治療が必要です。
症状
  • 飛蚊症
  • 光視症
原因 加齢によるものが多いですが、アトピー性皮膚炎や外傷によるもの、また近視も原因となることがあります。
治療方法
  • レーザー光凝固術
    放置すると網膜剥離に伸展する可能性があり、予防的にレーザー光凝固を行います。

網膜裂孔

網膜裂孔レーザー後

ドライアイ

  • 眼科
眼をカメラに例えた時、レンズにあたるのが角膜と水晶体です。涙液は眼の表面を潤し、角膜を感染から守り、レンズとしての働きを助けています。涙液が少なくなる、あるいは蒸散が増えるなどの理由で角膜が乾くと、視力低下や眼の痛みなどを引き起こします。
症状
  • 視力低下
  • 眼精疲労
  • 目の痛み
原因
  • 涙液の減少
  • 涙液の蒸散の増加
  • コンタクトレンズの使用
  • 長時間のパソコン作業
治療方法
  • 点眼治療
    涙液の量を補うもの、涙液の質を向上させるものなど種類があります。点眼で改善のない場合は眼軟膏を用いることもあります。
  • 涙点閉鎖(涙点プラグ)
    点眼治療では改善しない場合には、お風呂の栓をするのと同様に、涙の通り道(涙点)に小さい栓(プラグ)をいれて涙液を眼の表面にとどめるように処置をします。

ドライアイ

涙点プラグ治療後①

涙点プラグ治療後②

多焦点眼内レンズ

遠距離・中距離・近距離にピントを合わせられることから、遠近両用メガネや遠近コンタクトレンズと同様の機能を持ち合わせています。
術前の屈折異常(近視、遠視、乱視)を矯正した上で、遠くだけでなく近くも見えるようにという多機能なレンズですので、多焦点眼内レンズを挿入後は、複数の距離でピントを合わせられるため、およそ90%の方が眼鏡不要となります。
カタログで性能を語るようなご判断ではなく、通常の眼内レンズにはないメリットとデメリットをご理解いただき、ご検討ください。
単焦点眼内レンズだと焦点が合う距離の数は理論上、ひとつです。
多焦点眼内レンズは種類によって、焦点が合う距離、焦点の合う距離の個数などが異なります。どの距離に焦点を合わせたいかをよく考えてレンズを選びましょう。

上の表はあくまで目安です。例えば元々近視が強い方はスマホなどをかなり寄せて見ます。 術後に遠距離が見えないと歩くのも不便ですので、多焦点眼内レンズではまず遠距離が見えるようにします。

多焦点眼内レンズで知っておきたいこと

通常の「単焦点眼内レンズ」では術前に、最も見えるようになりたい距離をひとつ選んでいただき、それをお聞きして、ご希望に合うようにレンズの度数を選びます。
「単焦点眼内レンズ」の場合、多くの方が、メガネなしで相手のお顔が見えたり信号が見えるように希望されます。そして近くを見る時には老眼鏡をかけます。
なお、一部の方は近くが見えるように近視を希望されますが、もともと近視でなかった方は(単焦点眼内レンズで)近くが見える近視を選ぶと、普段の生活ではめがねをかけなくてはいけないので注意が必要です。
そこで、これらの欠点を補うのが多焦点眼内レンズです。

単焦点眼内レンズの見え方(イメージ)

多焦点眼内レンズの見え方(イメージ)

このように、多焦点眼内レンズは眼鏡が不要になるなど、鮮明に見える範囲が広くなるメリットがあります。
当科では多焦点眼内レンズをご希望の患者さまに時間を設けて、多焦点眼内レンズのメリットとデメリットについてご説明しています。

当科で取り扱っている多焦点眼内レンズ

レンズの光学的な特性・仕組みの違いから、多焦点眼内レンズは3焦点眼内レンズ、焦点深度拡張型眼内レンズなどに分けられます。さらに乱視矯正効果の有無も各レンズにより異なります。また患者さまにとっての費用の面では、選定療養、自由診療、そして保険診療で取り扱えるものの3種類があります。
眼内レンズ、特に多焦点眼内レンズにはそれぞれ、いろんな工夫がこらされた特徴があります。スタッフ、そして工学部で学びレンズ光学を専門とする副院長がくわしく説明を行い、ご希望をお聞きし、患者さまの眼とライフスタイルなどを考慮して、最適なレンズを選んでいきます。(なお眼の病気など様々な医学的理由で多焦点眼内レンズはお勧めできないと判断される場合があることはご了承ください。)
以下の表に当科で扱う代表的な多焦点眼内レンズを示します。このほか自由診療の多焦点眼内レンズも扱っています。(実際の見え方、とくに満足度はドライアイや角膜不正乱視など、制御できない様々な要因に影響されます。)

Clareon PanOptix クラレオンパンオプティクス

タイプ 回折型
ピントの数 3焦点
近くの焦点距離 40cm/60cm
乱視矯正
医療費 選定療養

Clareon Vivity クラレオンビビティ

タイプ 波面制御型
ピントの数 焦点深度拡張
近くの焦点距離 70cm
乱視矯正
医療費 選定療養

TECNIS Odyssey テクニスオデッセイ

タイプ 回折型
ピントの数 連続焦点
近くの焦点距離 40cm(連続焦点)
乱視矯正
医療費 選定療養

Vivinex Gemetric ビビネックスジメトリック

タイプ 回折型
ピントの数 3焦点
近くの焦点距離 30cm/60cm
乱視矯正
医療費 選定療養

FINEVISION HP ファインビジョンHP

タイプ 回折型
ピントの数 3焦点
近くの焦点距離 30cm/60cm
乱視矯正 ×
医療費 選定療養

LENTIS Comfort レンティスコンフォート

タイプ 分節状屈折型
ピントの数 2焦点
近くの焦点距離 70cm
乱視矯正
医療費 保険診療

TECNIS PureSee テクニスピュアシー

タイプ 屈折型
ピントの数 焦点深度拡張
近くの焦点距離 50cm
乱視矯正
医療費 選定療養

患者様へ

眼科受診の患者様へ

白内障手術後の良好な視力のために、眼内レンズの選択及びその度数決定は極めて重要で、当科はこの点に最も力を入れています。手術が決定されると医師及び視能訓練士の医療チームが、術前の見え方、例えば屈折異常(近視、遠視、乱視)や角膜形状、眼底疾患の有無などを詳細に調べます。乱視を治す乱視矯正眼内レンズや、術後に遠くだけでなく近くも眼鏡なしに見えることが出来る多焦点眼内レンズを用いた白内障手術を得意としています。

白内障手術希望の患者様につきましては、受診の予約を電話や地域医療連絡室を通してあらかじめ取っていただくと、当日の受診に必要な準備物をご案内します。眼軸長、全身検査などの術前検査、必要により内科かかりつけ医への連絡、手術日程の決定、手術の説明など、術前に行う全ての項目を初診日に終了するようにしています。ぜひご家族など大切な方とご一緒にお越しください。
紹介患者様の日帰り手術や1泊入院手術の場合、通常、初診日、手術日、術翌日の計3日の当科での診療の後、ご紹介いただいた先生にお戻りいただいております。

白内障手術は日帰り手術と1泊入院手術が主で、通常1か月ほどの手術待ち期間で、患者様と相談の上日程を決定しています。なお急ぎの手術が必要な場合は御事情にも配慮するようにしており、手術を中心に患者様おひとりおひとりのニーズに合わせた医療を行っています。
ほかの眼科にかかっていらっしゃる(もしくは当科受診目的の症状もしくは疾患でこれまでにほかの眼科にかかっていた)患者さまは、かかりつけ医からの診療情報提供書を持参ください。

学会などで休診のこともありますので、初めての方はお電話いただきご確認されることをお勧めいたします。
なお、かかりつけ医から地域医療連絡室を通じて診療予約を取っていただくと、日時の確定した診療予約がスムーズに取れます。診療に関するご不明な点がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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