人工関節センター
診療科について
膝関節・股関節の変形があり障害があると歩行能力が低下してしまいます。保存治療が効果ない場合、世界的には人工関節で機能を回復することが標準治療として広く行われています。当院でも膝関節や股関節の人工関節置換術を中心とした治療をしています。また、手術の傷が小さく筋肉をなるべく傷めない低侵襲手術にも取り組んでおり術後の痛みが少なくなり早期回復や早期社会復帰も目指しております。また、コンポーネントの正確な設置は人工関節の予後においても非常に大事です。当院ではほぼ全例でナビゲーションシステムを使用しておりそれによりコンポーネントの正確な設置も可能となっております。正確かつ迅速でより安全な手術が可能となるため患者様のQOLも高めることができます。人工膝関節・股関節ともに入院期間は約3~4週間ほどですが手術前に筋力が弱っている患者様やご高齢の患者様は安定した歩行が得られるにはそれ以上のリハビリ入院期間が必要となります。当院には回復期リハビリテーション病棟もありますので回復に時間が必要な方は回復期リハビリ病棟に移っていただき退院後の生活に不安がなくなるまでじっくりリハビリすることも可能です。また、理学療法士45名作業療法士6名言語療法士3名と非常に多くのリハビリスタッフがいることにより土日を含む365日リハビリテーションが行える環境が整っております。今後も我々はさまざまな患者様に寄り添って地域に根ざした質の高い医療を提供することを目標にしております。
主な疾患
変形性股関節症
- 整形外科
股関節は大腿骨の付け根のボール(大腿骨頭)と骨盤のくぼみ(寛骨臼)とでなっている関節でそのどちらにも軟骨というクッションがついています。軟骨が傷んで関節が変形してくるのが変形性股関節症です。
| 症状 | 主な症状は関節の痛みと機能障害です。最初は立ち上がりや歩き初めに脚の付け根に痛みを感じます。関節症が進行すると持続痛や夜間痛、安静時痛も出てきます。日常生活では足の爪切りや靴下の着脱が困難となります。また、長い時間立ったり歩いたりすることがつらくなります。階段でも手すりが必要となります。 |
|---|---|
| 原因 | 患者様の多くは女性ですがその原因として発育性股関節形成不全(先天性股関節脱臼)が多くを占めます。また加齢による変形や使い過ぎといったことも関係してきます。 |
| 治療方法 | ■ 保存治療
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■ 手術療法
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術前

術後
関節リウマチ
- 整形外科
関節リウマチは免疫の異常により関節が炎症を起こし関節の痛みや腫れが生じる病気です。進行すると関節の軟骨や骨が破壊されてしまい治療しないでいると関節の変形や機能障害を引き起こすこともあります。
| 症状 |
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|---|---|
| 原因 | 明らかにはなっていませんが遺伝的な要因や環境要因が関与してると考えられています。 |
| 治療方法 | ■ 保存治療 主に薬物療法が中心です。抗リウマチ薬、ステロイド、生物学的製剤などが用いられます。 |
| ■ 保存治療の効果がない場合には膝・股関節に対しては人工膝関節置換術、人工股関節置換術が適応となります。 |

股関節術前

股関節術後

膝関節術前

膝関節術後
大腿骨頭壊死症
- 整形外科
大腿骨の付け根にあるボール(骨頭)の血流が途絶え部分的に骨組織が死んでしまう病気です。進行すると骨壊死した部分が潰れていびつな骨頭となり関節軟骨も傷んで変形性股関節症となります。
| 症状 | 初期には骨頭の形や軟骨が正常で無症状の場合もありますが進行すると関節が変形し股関節の痛みや歩行困難などの症状が現れます。 |
|---|---|
| 原因 | 多くは原因不明で特発性と呼ばれ、男性の場合はアルコール多飲、女性の場合は膠原病等のほかの病気の治療に使われたステロイドホルモンの使用との関連は言われているが明らかではありません。大腿骨頸部骨折等の外傷で血流が途絶え骨頭壊死症になる場合もあります。 |
| 治療方法 | ■ 保存治療 壊死した範囲が小さければ薬物療法(消炎鎮痛薬) 骨頭骨切り術等の骨切 |
| ■ 手術療法 壊死した範囲が小さければ骨頭骨切り術をしますが、骨頭がつぶれて関節変形がおこると人工股関節置換術をします。 |

術前

術後
急速破壊型股関節症
- 整形外科
高齢者の股関節が数か月から1年の短期間で急速に破壊される病気です。高齢の女性が圧倒的に多いです。
| 症状 | 股関節に急激に強い痛みが生じ歩行困難となります。骨破壊が進んでくると安静時痛や運動時痛も著明となり歩行不能となる患者様もいます。 |
|---|---|
| 原因 | 原因は明らかにはなっていませんが大腿骨頭の脆弱性の骨折や骨粗しょう症との関連も指摘されています。 |
| 治療方法 | ■ 保存治療 初期には杖や車いす、薬物療法(消炎鎮痛剤)。 |
| ■ 手術療法 最終的には関節が破壊されるため人工股関節置換術をします。 |

術前

術後
変形性膝関節症
- 整形外科
膝の関節は大腿骨(ふとももの骨)、脛骨(すねの骨)、膝蓋骨(お皿の骨)からなっています。その表面についている軟骨というクッションがすり減って関節が変形してくるのが変形性膝関節症です。進行すると軟骨が完全になくなり骨どおしがガリガリ衝突する状態となります。
| 症状 | 膝を動かしたり歩行するとき、階段の昇り降りに膝の痛みが出ます。関節症が進行すると安静時痛も出てきます。また、長い時間立ったり歩いたりすることがつらくなります。階段でも手すりが必要となります。 |
|---|---|
| 原因 | 加齢や過負荷、体重増加など膝の負担が増えることで軟骨が傷んできます。また、外傷で、関節にまで及ぶ骨折や半月板損傷を起こしたことが原因で後々膝の変形が起こる場合もあります。 |
| 治療方法 | ■ 保存治療
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| ■ 手術療法 内側と外側の軟骨が傷んでいれば人工膝関節置換術、内側あるいは外側だけの軟骨だけ傷んでいるのであれば内側あるいは外側だけの人工関節を置換する単顆型人工膝関節置換術をします。 |

人工膝関節置換術(TKA)の術前術後

単顆型人工膝関節置換術(UKA)の術前術後
大腿骨顆部骨壊死
- 整形外科
大腿骨顆部骨壊死とは中高年に多く発症する病気でとくに女性に好発します。膝関節の大腿骨の体重がかかる部分の内側と外側、特に内側に多く発生します。初期にはレントゲンではわからないことが多く診断にはMRIが必要です。進行すると変形性膝関節症になることもあります。
| 症状 | 夜間痛、安静時痛、歩行時痛による歩行困難、階段昇降による痛みを感じ次第に痛みが強くなることもあります。 |
|---|---|
| 原因 | 多くは原因不明ですが骨粗しょう症や膠原病等のほかの病気の治療として使われたステロイドホルモン、また、血流障害や外傷との関連も言われています。 |
| 治療方法 | ■ 保存治療
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| ■ 手術療法 壊死した範囲が小さければ単顆型人工膝関節置換術をします。多くの場合はそれで事足りますが、壊死した範囲が大きければ人工膝関節置換術が必要となります。 |

術前・術後
特色ある治療
人工股関節置換術(THA)
股関節の変形が進行し保存治療をしても関節の痛みが強く日常生活動作や歩行障害がある場合、人工股関節置換術を行います。この手術は痛みを取り除く有効な手段であり患者様の満足度が非常に高い治療です。
人工膝関節置換術(TKA)
変形性膝関節症に対する最も多く行われている手術で軟骨が傷んで変形が起こってしまった骨を切除してコンポーネントで覆うように置換する手術です。当院ではmodified gap techniqueという軟部組織のバランスが安定する手技を使うことにより膝を曲げたり伸ばしたりした際に、より安定した膝関節のバランスをとるようにしており手術後の満足度が上がるようにしております。最近ではkinematic alignment TKAをしており患者様それぞれの関節の解剖学的な構造を考えそれぞれのニーズにあった膝の動きを取り戻すことを目指した手術法で従来のTKAと異なりそれぞれの患者様の膝の形状や関節の傾きを正確に再現することを目標にしております。kinemaric alignment TKAの手法は従来のTKAと比べて患者様の満足度がより高いという報告があります。
単顆型人工膝関節置換術(UKA)
膝の靱帯が正常で軟骨が傷んでいるのが内側だけあるいは外側だけの場合は部分的に人工関節を置換します。UKAの場合膝もよく曲がりますし術後回復が早いです。
- 人工股関節置換術、人工膝関節置換術ともに手術の傷が小さく筋肉をなるべく傷めない低侵襲手術にも取り組んでおりTHAでは10~12cm、TKAでは10~13cm、UKAでは8~10cmの皮切で術後の痛みが少なくなり早期回復や早期社会復帰も目指しております。(体型の大きい患者様等は例外はあります)
- ほぼ全例でナビゲーションシステムを使用しており、より正確なコンポーネントの設置が可能となっております。正確な設置は予後や術後脱臼に影響がありますので非常に大事です。
